軽貨物ドライバーは従業員として働く場合もありますが、個人事業主になって開業すれば、売上次第で収入アップも夢ではありません。
とはいえ、社員として働く場合と比べて何が違うのか、開業するには何をすればいいのかなど、わからないことも多いでしょう。
そこで今回は、開業に必要な手続きや平均的な年収、発生する経費などをお伝えします。
個人事業で軽貨物ドライバーを開業するまでの流れ
個人事業主として軽貨物ドライバーの仕事をする場合には、仕事に必要な車両や車庫、営業所などを用意して運送事業の届出をするとともに、開業の手続きも進めていく流れになります。
運送事業を始めるにあたっては、営業所を管轄する運輸支局に必要書類を提出して営業用のナンバープレートを申請します。
運輸支局から事業用自動車等連絡書が交付されたら、車検証と使用中のナンバープレートを軽自動車検査協会に提出して黒字のナンバープレートを受け取ります。
個人事業主としての開業手続きは、実際に開業してから1ヵ月以内に税務署に開業届を提出するだけです。
正式な帳簿を作成して所得税の控除を受ける場合には、青色確定申告承認申請書も一緒に提出しておきましょう。条件はありますが、最大で65万円の控除を受けることができます。
軽貨物ドライバーの開業時に入るべき保険とは
軽貨物ドライバーとして開業するなら、万が一のトラブルに備えて保険への加入は必要不可欠です。個人事業主として働く場合は、車両も預かっている荷物も損失が生じれば自分が賠償しなければならないため、それぞれに加入しておきましょう。
プライベートでも加入することが多い自動車保険は、軽貨物ドライバーとして使用する車両の場合、営業車用の任意保険にしなければなりません。
これに加えて、預かった荷物に損害が生じた場合に備えて運送業者貨物賠償責任保険への加入も必要です。これは運送中、あるいは保管中に荷物に損害が生じた場合に賠償額を補償する内容の保険です。
また、個人事業主は安定した収入がありません。そのため、けがや病気で働けなくなった場合に備えて、生命保険や収入の不足分を補う保険への加入も検討しておきましょう。
軽貨物ドライバーの個人事業主の平均年収
個人事業主として軽貨物ドライバーになった場合、受注する仕事の大半が企業からの委託業務になります。毎月の給料が決まっている従業員とは異なり、個人事業主の場合は仕事をこなした数だけ売上が増えますので、収入を重視するなら多くの荷物を配達しなければなりません。
逆に無理のない範囲で仕事をしたいならば、受注件数を減らすことも可能です。そのため、軽貨物ドライバーの年収といっても一概に同じとは限りませんが、平均的には300~400万円台程度の金額になっています。
1日の平均的な売上は1万~1万4000円程度で、手数料として15~20%が差し引かれることが多いようです。つまり、1日1万2000円の売上を出して月20日働き、20%の手数料を差し引いた場合、12,000円×20日×80%=19万2000円が1ヵ月の売上です。
ただし、自営業者はここから所得税や社会保険料、経費などを払う必要があります。これらの支払いを考慮して受注件数を調整しましょう。
軽貨物ドライバーの個人事業主にかかる経費
個人事業主になると事業に要した費用は経費として計上し、課税金額から差し引くことが可能です。軽貨物ドライバーの場合、もっとも大きい割合を占めるのがガソリン代です。ほぼ毎日配達のために車を使いうため、ガソリンの値動きによっては経費がかなり高額になる可能性があります。
また、自動車保険や車検代、オイルの交換、冬用タイヤなども経費に挙げることが可能です。事業のために車両を購入した場合は、支払代金や自動車ローンも減価償却費として計上しましょう。
加えて、事業用の連絡手段として使っている携帯電話の料金やパソコン購入費、事務用品代、打ち合わせ時の会食費やお歳暮、お中元などの接待交際費、名刺や広告掲載などの宣伝広告費も経費です。
自宅を事務所として使っている場合は、事業に使用している割合で家賃を経費計上することもできます。
個人事業の軽貨物ドライバーができる節税方法
軽貨物ドライバーの個人事業主になると、毎年確定申告をして所得税を納めなければなりません。また、売上が1000万円を超えると2年後に消費税の課税事業者になるため、消費税の確定申告と納付も必要です。
給与所得者と比べて収入が不安定になるうえ、各種税金や社会保険料を売上の中から納めなければならないため、できるだけ節税を心がけましょう。
個人事業主ができる節税として大きいのが、青色申告特別控除です。複式簿記で帳簿を作成して電子保存するか、e-taxで申告することにより、65万円の控除を受けられます。
また、ふるさと納税やiDeCoの支払金額、社会保険料なども控除対象となります。
自宅の一部を事務所として使っている場合には、家賃や水道光熱費も一部を経費として計上できるため、これらの控除や経費を忘れずに申告しましょう。
まとめ
このように、個人事業主として軽貨物ドライバーの仕事をする場合には、開業手続きや経費の管理などの負担は生じます。しかし、自分のペースで仕事を受注できますし、多めに仕事を受けるようにすれば年収アップを目指すことも可能です。
個人事業主は本来の仕事以外にすべきことも責任も増えますが、自由度が高くなるため、マイペースに仕事をしたい人におすすめです。